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牛が岳、大兜山、横断 第4話2022年3月17日(木)

2時間半も風にさらされかなり体力は消耗していたが、スプリットボードをライドモードに組み立てると不思議とスイッチが入った。
米子沢の入り口に入ると山頂の風は全く消え、無風
いままでの闘いは一体何だったんだろう?
まるで悪夢から目を覚ましたかのようだ。
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ガスもなく快晴。
雪もやや重だが、緩んでいて快適
12時間歩き続けてようやくこの時がきたのだ。
沢を落とすZの後を滑った。
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板も走る
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素晴らしい景色にたびたび写真を撮る
一気に滑り落とすのは勿体ない。
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快適な米子沢でした。
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デブリで沢が埋まっていた。
ここは左の壁をトラバースで回避して無事下山。
車に戻ったのは16時
12時間20分の長い闘いとなった。
そのうち米子沢を滑ったのはわずか30分(笑)
大兜山に進んでいたらはたしてどうなっていたのだろうか?
正解はわからないが、生きて家に帰れれば間違いではない。
教訓、牛が岳から大兜山に滑り落とすときは、視界が良く大兜のルートを確認するまでは滑ってはならない。
次こそ必ず横断してやる!

牛が岳、大兜山、横断 第3話

牛が岳の稜線はまさに地獄となった。
風がいつも強く吹くために雪がつかずにシュカブラになっているのでシールがきかない。
シールが効かなければアイゼン、スノーシューで板は背中に担がなければならず。
背中の板は風にあおられるという負のスパイラルに陥ってしまった。
とにかく背中が重い。
そして風に押されて左側に傾くので右の肩がめちゃくちゃ痛い。
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体力有り余るZさんもさすがに辛そうだ。
「こうやって遭難しちゃうんですね~、もう時間は気にせず体力温存でゆっくり歩きましょう」
そう言ってくれたのでいくらか気持ちが落ち着いた。
残り200mほどの登りだがとにかく遠く感じる。
ホントに巻機山まで戻れるんだろうか?
そんななかZさんが僕に語りかけてきた。
「向こうの尾根に人がいるのがみえますか?」
Zさんの指先の向こうは割引岳へとつながる尾根
しかしよく見ると様子がおかしい。黒い塊でのそのそ歩いている。
これはひょっとして、そう、クマ
冬眠から覚めたクマが麓から山をのぼってきたのだろうか?
ああ隣の尾根で助かった。
こんなところで出くわしたって戦えない。
次はクマと戦うためにもウィペットを準備しなくては。
そんなハプニングを乗り越えてようやく巻機山の風よけイグルーに戻った。
牛が岳北東斜面から戻って400m登るのに12時半から15時の2時間半もかかってしまった。
しかしここまで来ればもう後はスノーボードで滑って下るだけ。
安堵で力が抜けた。

牛が岳、大兜山、横断 第2話 2022年3月15日(火)

井戸尾根で休憩するころはもうすっかり明るくなっていた。
休憩の後は森林限界を超えて無木立の雪原
ここからは濃霧で前が見えなくなり始める。
先を進むZさんの後を見失わないように必死でついていく。
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どこを歩いているのかも分からなくなってきたが、だんだんと傾斜は急になってきているのでニセ巻の手前なんだろう。
シールも効かないほど雪は硬くなっていたので、無理をせずアイゼンに履き替えて登った。
気がつけばニセ巻機
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Zさんとニセ巻、そしてガス
ここで8時
避難小屋付近で休憩し巻機山最後の登りを越えた。
山頂に行くほどガスと風が強い
ここから牛が岳へ行くには、視界が悪すぎる
どうするか相談した結果、風よけのイグルーでしばらく様子をみることに
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今年購入したスノーソーで雪をブロック型に切り出して、積み上げて
他愛もない会話で時間を潰すもなかなか視界は開けない
ここでしばらくしのぐこと2時間
諦めかけたころチラホラ晴れ間が・・・
今しかないとばかりに板を履きなおし。牛が岳へGO!
牛が岳は風が強いところなので、雪が積もらずカチコチのシュカブラ
牛が岳からはスプリットをツアーモードからライドモードに変えて
いざご褒美の滑走開始
といいたいところだけど、雪が積もっていないので滑るというか横滑りで降りるだけ
ああ~ なんだか勿体ない
しかも視界もないし
意味もなくただただ標高をさげる。
1600m付近だろうか、ここら辺から牛が岳の北東斜面で雪がフカフカに積もっている場所
せめてここくらいは視界いい時に気持ちよく滑りたい
視界が抜けるのを待ってみた。
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晴れた―――――!
さぁ滑りましょっと思った瞬間
「雪崩れてる」とZさん
まじで
確かに大兜山へと登るルートの上部に亀裂発見
それにくわえてかなり急登ですこと
日当たりも良くなってきたうえに、ここで12時半
んん~ 危険なにおいがする
さんざん悩んだ結果ここで撤退することに
前日の気温の高さが仇になったが、命あってのバックカントリーだ。
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ここからが地獄だった。
シュカブラの牛が岳北東斜面はシールが効かず
アイゼン、スノーシューで登り返し
そして何といっても風が強い
というかもう、台風クラスの強風に変わっていた。
板をザックに括り付けていたので風にあおられてまっすぐ歩けない状態
少し歩いては体がもたず伏せて休憩を繰り返した。
やばい。全然前に進めないが、体力温存しながらゆっくり進むしかない。
こんな時こそ、行動食を口にしてスタミナをつけなくては
コンビニで買ったどら焼きが甘くて力がみなぎる。
つづく・・・

牛が岳、大兜山、横断 第1話2022年3月13日(日)

今回のブログは話が長くなるので数回に分けて報告させていただきます。
山スキー百山というスキーアルピニズム研究会RSSA(山と渓谷社発行)の本は山スキーの先駆者達が選んだ登って滑るべき日本の百山というタイトルでバックカントリースノーボード始めたころは、この情報を頼りに山行計画をしてきた私にとってのバイブルといっても過言ではない一冊だ。
私が住んでいる山域の上越関東北部の部門で39番目に紹介されているのが牛が岳、大兜山だ。
山を始めたころは、そこがどこの山かも知らず、また他人から聞くこともなかった。
それが巻機山麓の清水集落から、巻機山、牛が岳を登り北東斜面を滑り再び大兜山に登り返してから三国川ダムの野中集落に向かって滑るロングルートであることを2年前から知り、興味を持つ。
昨年はいろいろ情報を集めて、地図を眺めながら下調べをしていた。
さすがに一人では行く気になれず、2022シーズンも諦めていたが、先週に鍋倉山に一緒に行ったZさんが行くとのことでそのプランにのっかることに。
これはきっと何かの縁、牛が岳、大兜が俺を呼んでいるに違いない。
沈みかけていた雪山の情熱が再燃した。
まずは準備だが、いつもの日帰り登山とは違い、大兜の登りは誰も行ったこともなく、シールで行けるのか、それともスノーシュー?カチカチに凍っていればアイゼンと見当もつかない。
仕方ないのでアイゼンとスノーシュー(SparkR&DのVerts)をザックに収納するもいつもの30リットルでは入りきれず、45リットルに変更
スノーシューはプラスチック製だが極力軽くしたいので、ドリルで穴をあけて肉抜き
ハチの巣のようにしたらかなり軽量化に成功。
水は1リットルでは足りないので1.5リットルに
痙攣対策に塩分チャージの飴ちゃんを携帯
前日は早めに睡眠をとり9時に布団にイン
深夜1時に目覚ましに起こされて、
3/12、Zさんとの待ち合わせ場所で落ち合い、野中のデポ地点に駐車
清水には3時半ころ到着した。
3時42分スタート
星が出ている、予報も悪くない。
超ロングルートだがきっと横断できるだろうと胸が躍る。
前日気温がかなり高くなっていてあちこちで雪崩れているとのニュースを聞いていた。
今回失敗するとすれば、それだろう。
だが今は冷えていて雪崩れる気配はない。
雪崩れるとすれば日が当たる午後から
出来ればその時間帯までに大兜に登りたい計画だ。
ヘッデンを灯して井戸の壁まで進んだ。
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(久しぶりとなる早朝スタート、物静かで空気が澄んでいて気持ちいい)
壁はトレースにツボ足、スノーシューのあとでギタギタになっていて、シールが効かなくなる。
シールはあきらめて、肉抜きVERTSで登った。
シートラで板をザックに括り付けるとさすがに重いが直登できるので早い。
敬遠していたツールだけど軽量化できた今は積極的に使えるかも。
5時40分、最初の核心井戸の壁クリア
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(井戸の壁を越えて、アイゼンからスプリットに)
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(井戸尾根を登る。マスクを外し忘れているWW)
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この日最初の休憩
朝食はいつもおにぎり。
すじこサイコー。
ここまでは今のところ順調。天気予報通り晴れるのか?後続は今のところ誰も来ない。
巻機山独占~

鍋倉山BC2022年3月8日(火)

3/6
天気は良くないなか、気合で行ってきました鍋倉山
今回はソロではなくZさんと二人
Zさんは山スキー率高いこの魚沼地域で私と同じ希少なスプリットボーダーで
スプリットボードの酸いも甘いも知る存在だ。
早朝4時から目を覚まし、外を見ると予報通りの雪と強風
遠くに落雷の音も聞こえた。
んん~ 行くべきか、中止するべきか
いやいや、山は行ってみないとわからないし
すでに準備もしているので、ダメだったらスキー場でダラダラ遊ぶも有りです。
との判断でZさんを拾って温井集落へ
長野方面は新潟に比べると少し空が明るいのが救いだ。
温井へ到着するも自分達と他2組
こんな日に登るなんてよほどの変態としか思えません。(もちろん自分も含めてWW)
雪はうっすら積もってちょうどいいラッセルでシールもバッチリ効く
いつもより積雪が多く、景色が違うのでルートが迷いやすかった。
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1100m超えたあたりからとんでもない強風に襲われ撤退が頭をよぎる
たえられずジャケットを羽織り、ネックウォーマー、ニットキャップ、インナーグローブを更に増やし
防寒スタイル全開で何とかしのぐ
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南尾根を歩くと風は弱まり、気がつけば山頂
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なんも見えない山頂でバンザイするZさん
めちゃめちゃ寒いので休憩せずにすぐに滑走
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吹雪の中、寒さに耐えた甲斐がありました。
雪はサイコー
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バフバフ~
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スプレー天国でした。
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急斜面を終えると、ボーダー泣かせの緩斜面地獄
だけどこの日は板がよく滑ってくれたので楽ちん
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下山すると、えらい台数の車が・・・
このほかにマイクロバスで来られたバックカントリーツアーのご一行様集団とか・・・
恐るべし観光地みたいだ
老後はここで鍋倉山饅頭でも売ろうかなWW

SparkR&D 2022年3月7日(月)

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sparkR&D
初めてバックカントリーにチャレンジした時に購入してから、8年も使い続けてきたスプリットボード専用ビンディング
長い間使用てきたので、そろそろ壊れ始めるころ
短いウインターシーズンにビンディングの不具合で滑れないなんてありえないし
山行中に壊れたら遭難の可能性も
それにくわえて、自分が購入した2013-14モデル(アフターバーナー)
当時はテスラシステムというピンを使わずにワンタッチでモードチェンジできる画期的商品だったが
ヒールロックという概念がなく
のちに販売された後付けの品物は駄作で数回の使用で破損するというお粗末さであったが
2018-19モデルからはヘビーデューティーなヒールロックにモデルチェンジ
これなら安心してツアーモードの際、ワンタッチで踵を固定しアルペンスキーのごとく滑れることが可能に
これがどれだけ素晴らしいことか、守門岳行かれた方ならわかるはずWW
一時期スキーに転向しようかとも悩んだけど
いまがようやく買い時です。
ってことで話が長くなりましたが、昨年春から探し始めたニューモデル
どうしたことかショップにもネットにも全く手に入らない状況が続き
もうすぐ一年が経過しようとしていた先週
Amazonにて一つだけ新品の2021-22モデルが販売されているのを偶然発見!
本物かどうかをじっくり確認してポチりました。
実際手に取ってみると、その軽さにビックリ
新旧並べると一見違いはないもののやはり機能はかなり優れていて、あちらこちら使いやすくアップデートされていました。
ああこれで早くヒールロックで滑走してみたいです。

後で知りましたが、SparkR&Dが大変な品不足となっていて、入荷の予定がない状況
来期もこの状態は続くらしく、しかもかなり値上がりするらしいです。
今買ってて正解だったみたい。ラッキーでした。