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牛が岳、大兜山、横断 第3話2022年3月17日(木)

牛が岳の稜線はまさに地獄となった。
風がいつも強く吹くために雪がつかずにシュカブラになっているのでシールがきかない。
シールが効かなければアイゼン、スノーシューで板は背中に担がなければならず。
背中の板は風にあおられるという負のスパイラルに陥ってしまった。
とにかく背中が重い。
そして風に押されて左側に傾くので右の肩がめちゃくちゃ痛い。
HUST4902
体力有り余るZさんもさすがに辛そうだ。
「こうやって遭難しちゃうんですね~、もう時間は気にせず体力温存でゆっくり歩きましょう」
そう言ってくれたのでいくらか気持ちが落ち着いた。
残り200mほどの登りだがとにかく遠く感じる。
ホントに巻機山まで戻れるんだろうか?
そんななかZさんが僕に語りかけてきた。
「向こうの尾根に人がいるのがみえますか?」
Zさんの指先の向こうは割引岳へとつながる尾根
しかしよく見ると様子がおかしい。黒い塊でのそのそ歩いている。
これはひょっとして、そう、クマ
冬眠から覚めたクマが麓から山をのぼってきたのだろうか?
ああ隣の尾根で助かった。
こんなところで出くわしたって戦えない。
次はクマと戦うためにもウィペットを準備しなくては。
そんなハプニングを乗り越えてようやく巻機山の風よけイグルーに戻った。
牛が岳北東斜面から戻って400m登るのに12時半から15時の2時間半もかかってしまった。
しかしここまで来ればもう後はスノーボードで滑って下るだけ。
安堵で力が抜けた。