3/8 天気予報では数日少量の雪が積もった日が後の晴れだとか
そろそろラストパウダーになってしまうのかもしれないと思うと、脳内はアドレナリンが分泌してくる。
シーズンに一回くらいは自分の限界を試すような挑戦的山行を求めてしまうのは誰にだってあることではないだろうか。
そんな思いを胸にしまい、LINEでZ氏にどこか刺激的な標的を聞いてみると、火打山北面ルンゼに行く予定だとか!
それなら是非と返信したが、調べてみるとかなりハードなルート
あの有名なYSHR氏も今シーズン突破している記録があがっているが、そのお方といえど山行時間12時間半、高低差2,000mを超え移動距離にして21.8㎞のロング&ハードコース
数日悩んでは、やっぱりやめときますとキャンセルの送信を送ったが既読にならず、再び自分を奮い立たせて改めて挑戦を決意した。
はたして自分の足で登って滑って帰ってこれるのだろうか、今期一番のチャレンジは前日の夜から始まった。
仕事を終えて19時には就寝、珍しくぐっすり深い眠りに落ち23時、早速支度してZ氏をむかえに車を走らせる。
体調は万全、Z氏0時に拾い下道で糸魚川の笹倉温泉へ。この日は冷え込んで道路はところどころ凍結していて肝を冷やしたが無事にスタート地点となる笹倉温泉に到着。ヘッデンに単4電池を装着しようとするが老眼でプラスとマイナスが見えず、点灯させるに手間取った(笑)

いざ3時スタート もちろん他に誰もいない
かなり気温は低い、晴れの予報とはうらはらでちらちら雪が舞う。
先行はいつものZ氏。そうこの日の自分はあいもかわらずの甘えん坊でZ氏のトレースにのっかって体力の消耗を抑えてすすむ。
行きと帰りの車は運転するからゆるしてくれぃ(笑)
真っ暗の雪原にふたつのヘッドライトの明かりだけでルートは携帯のGPSをみながら探って登る。
はたして進んでいる方向はあっているのか?少し進んでは確認することを繰り返して九十九折れの第一ゲートを超え、第2ゲート、アマナ平へと進んだ。

そのころようやくうっすらと明るくなりはじめて高松山、焼山がぼんやりと白い肌を纏い大きな姿を現した。
焼山 ドーーーーーーーン

ラスボス登場 火打山ドーーーーーーン
振り返るとナイスビュー

ここが火打北面ルンゼ さてさてどこを滑り落とそうか
時には携帯で写真をとるなどしてペースを落とすと、Z氏とはかなり距離を離されてしまったが広い北面台地ではわれら二人だけでさえぎるものもなく迷うこともない。
慌ててペースを上げずに、あえて自分のスピードを変えずに進むことにした。
気温はかなり低い、ほぼ休む来なく歩き続けても体はあつくなることはないし、テムレスの手袋では指先が痛くしびれてきたので厚い綿の入った極寒用のグローブに替えて賽の河原を超えて急登のとりつきに
時間にして7時ころだったか?
ここで標高は1400m あとここからさらに1000m登らなきゃならんのかぁ キツイな
思わずぼやく。ここからが急登となり勝負だ。がんばれ自分!頼りになるのはこの右足と左足のみ

ジグザグジグザクキックターン何回しただろうか、少し歩いては休憩の繰り返し
酸素も薄くなってるのは呼吸でわかる、深呼吸しても肺は満タンになりはしない。
呼吸の乱れはないが、足が上がらずもどかしい。

Z氏が描くZトレース
追いつきたいが離されゆくばかり

癒される樹木

まだまだ先は長い

あとちょっと カチカチ アイゼンつけないと危険なトラバースあります。あわや滑落でした。

そしてついに山頂。かろうじて目印が頭を出してました。

すでにスタンバイしてるZ。ゴーグルの下の目が血走ってるような。


この高度感はすごい。2400mから落ちていく景色です。ゴールの笹倉温泉見えるけど遠いなぁ。

ぶっ飛ばすZ とにかくノーブレーキ
次は俺の番
上質の雪と過去一の斜面

贅沢すぎる
足から伝わる柔らかいパウダーの反発がエクスタシー

北面ルンゼに二本のシュプールを描いた。 下山はチラチラ振り返っては思い出し笑いをしました。

と、ここからがまた長い シールをつけて登り返し数回。温泉に戻ったのは14時ころ
かれこれ11時間30分 移動距離22.3km 高低差2140mの山行でもう二度と登りたくないくらい辛い思いをしたものの、良き相棒、良質な雪、程よい斜面と条件がそろいドーパミンが放出されてその苦労も一瞬で忘れてしまった。
間違いなく過去最高のBCとなった。